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ねじの技術商社、自社の強みに向き合った人事制度の改革に手応えを実感
池田金属工業株式会社 様
「ねじの"技術"商社」として世界の機械系製造業ユーザーに対して安心・安全・最適なねじ締結を提供。商社機能に加えた圧倒的な技術力が強みのイケキンは、技術コンサルティングを通して、お客様と厚い信頼関係を築いている。各部門でスペシャリストが多数在籍しているからこそ、技術・実務の評価や継承を適切に行い、より組織で戦える企業への成長を図っている。
大阪の地で創業75年を迎える、"ねじの技術商社"池田金属工業株式会社様(略称:イケキン)にて、人事制度の構築、総務フォロー、社員教育に携わらせていただいております。武井社長は、入社した際に「イケキンはスペシャリストがたくさんいる!」と感動されたとのこと。その人材がより活躍し、世の中により高い価値を提供する会社にしたいと改革を進められています。魅力あふれる武井社長のお考えや、ネバラント(担当:増田)の関わり合い方について詳しくお話を伺いました。
人事制度の見直しを意識された経緯を教えてください
「イケキンはスペシャリストがいっぱいおる!」これは僕が入社して初めて思ったことです。ねじは範囲が広く、一つ一つが奥深い。単にねじ一本を締結する場所であっても、解決策は多岐にわたります。そしてその奥深さゆえにトラブルが絶えません。様々な課題をもっているパートナー企業や顧客企業に対し、イケキンは領域ごとのスペシャリストがいるので解決の提案ができます。
僕は小さい頃から、人形をつかうようなごっこ遊びの中で、主人公だけじゃなく、いろんな脇役にもストーリーを作って、今回はこいつが主役だ!みたいなことを考えるのが好きでした。それは大人になった今も変わっておらず、このスペシャリストの集団であるイケキンで、それぞれのメンバーが持つ魅力をプロデュースして輝かせ、そこに舞台照明の光を当てたい!と。このスペシャリスト集団が組織として強固に機能していくことができたら非常に楽しいし、この人らの未来は明るいんじゃないかな、とワクワクしました。
当社もご多分に漏れずDX化を進めていますが、「人」にフォーカスし、人にしかできない領域に光をあてることができると会社の成長につながると確信しています。イケキンにいたら自分の強みが分かる、伸ばせる、支援してくれる、と思ってほしい。だから教育とか、資格の手当も重要だと思っています。ここなら頑張れる、楽しい、と思える良い会社が作れたら僕も楽しいですし、会社も成長していくと思っています。
──── 素敵ですね。当時の人事制度はいかがでしたか。
入社して10年になりますが、評価については曖昧な部分があると感じていました。良い意味では社員の自主性を重んじていたので自由度が高く、自己成長についても会社から示されるというよりも個人に委ねられていました。
しかし何を頑張れば良いのか分からない、という状況も時として起こりえます。僕自身でいうと、いつかは継ぐけれども、どんな能力をいつまでに身につければ良いのか、いつ継ぐのかも分からなかったのでそう感じました。これは立場が違う一般の従業員も一緒で、どの能力を身につけたら成果につながるのか、会社から何を求められているのか、どのように役職や等級が上がっていくのか。こういったところがはっきりしたらもっと頑張れるし、お客様や仲間に喜んでもらえる機会が増えるという思いがありました。
──── わかりやすくしよう、ということに周りの方々の反応はいかがでしたか?
管理職も含めた評価される側のメンバーは、明確にかつオープンにすることを歓迎してくれました。
取締役たちからは、細かくしすぎたら後で大変やで、がんじがらめにならないように、柔軟にできるようにしておいた方が良い、といった意見がありました。
みんなのために、とやったことで制度に振り回され、本業であるお客様に向き合う時間が減ってしまいかねないよ、という意味だと受け止めています。そういったことに陥らない経営体制でいること、その手前の手前で舵を切り直す覚悟が必要です。増田さんは、そういった私たちの懸念にも向き合って他社の事例などを話してくださり、一歩踏み出す勇気をくれました。
増田に依頼した理由と役割を教えてください
制度の枠組み自体は、先行してコンサルタントの方と打ち合わせを行っていました。1年間ほどコンサルタントの方と動いていましたが、実際に手を動かして、現場のメンバーと話して、ヒアリングして資料に落とし込んで、またメンバーに伝えていく...という部分が、自分一人ではどうしても手が足りません。今の総務メンバーも手がいっぱいで、人事に特化した部門を切り分けて用意できる状況ではなく、経験、知識、マンパワーが足りていない状況でした。
実際に手を動かして資料を作る経験があって、フラットにメンバーと話せる安心できる人がいれば、もっと円滑に進むと思って、増田さんに依頼しました。
──── 増田がイケキンにとって適任だと感じられた理由はありますか?
以前、弊社がある研修を導入する際、増田さんが担当営業だったのですが、当時の社長と僕たち従業員の架け橋となってくれました。今回の人事制度の改革においても、僕が望んだのはこの架け橋です。
増田さんは経営者目線に寄り添う姿勢を持ちながら、従業員のみんなに対しても切り替えてそれを向けてくれます。一般的に見聞きするコンサルティング業者には、経営者には寄り添っているけど、メンバーには「言うこと聞いてください、社長が言ってるんですよ」と押し付けるケースがあります。僕は全然望んでいないし、逆効果だと思っています。僕の話も聞いてほしいし、みんなの声も聞きたい。全てには答えられないけど、それぞれに寄り添って伝える、翻訳するという架け橋を増田さんは担ってくれます。稀有な方ですね。
人事制度を変えることで問題が出てきた際には、増田さんとはディスカッションを通じてイケキンの解を一緒に導き出すことができると思っています。増田さんには、豊富な事例と創意性、圧倒的当事者感があるからです。増田さんはこれまで、圧倒的当事者感を出して行動してくれました。その信頼も大きいです。
──── どのように関わらせていただいていますか?
できたら出社してほしいというお願いをしました。週1回ぐらいのペースで出社して、実際に机を並べてみんなと話しながら進めてもらっています。人事制度の件とは別に、総務部が人手不足なので、就業規則の修正や更新、研修や助成金リサーチ、通常業務についてもフォローをお願いしています。
人事制度の改革を進める中でどのような変化がありましたか
増田さんはまず傾聴するという意識があってしっかりと意見を聞くので、従業員とオープンに話せているようです。一般的な話や、他社さんのケースとの比較などを、客観的なアドバイザーとして意見を出しつつ、今回の人事制度の方向性やプロジェクトメンバーの意向を伝えてくれています。
制度が変わるので、そこに対して納得できない人もいるでしょうし、不安になる人もいるでしょうけど、きちんと対応するという会社の姿勢が伝わったことで、一方的に決められて切り捨てらるような話ではないと認識してもらえたと思っています。
──── 人事制度の改革に携わる他社の人間が頻繁に社内に出入りすることに対しての反発はなかったのでしょうか
そうならないように工夫した部分もあります。全社が集まる場所で最初に紹介し、みんなに話を聞きに行ったりすることを事前に伝えたり、飲み会や会議などにも出席してもらっています。いるのが当たり前という雰囲気をつくるように増田さんにも協力してもらいました。
受け入れるには、時間が必要だということと、みんなと一緒に考えてもらう人がいるというメッセージを僕が発信し続けることが大事だと思ったんです。増田さんもそういった発信をして、みんなと話す機会をつくってくれました。時には増田さんと従業員が飲みに行くケースもありました。みんなが受け入れているというのが大きい変化じゃないかなと思います。
職種ごとに必要な能力についてヒアリングする場面でも、ちゃんと本音が出てきています。人事制度の改革を敬遠せず受け入れ協力してくれていることが変化ですし、研修資料などに落とし込むことができています。
人事制度の改革にあたって、社内から不安の声があがっていたら教えてください
昨年末に説明会を行い、今は仮運用期間です。来年からが本格導入で、3年ほどで本当に変わってきたねという実感が得られると考えています。まだ1年が経っていないぐらいですが、従業員のなかでも、制度の改革について半信半疑だったところから、なんとなく本当にそうなるのかな、と変わり始めています。
期待もそうですが、不安の声も聞いています。曖昧ではない明確な評価基準を設けることによって、良くも悪くも自由で良かったところがダメだと烙印を押されるんじゃないかと、特にベテランを中心に不安があったと思います。
例えば、求められる管理職像の変化が挙げられます。これからは、経験や実績の言語化、標準化とともに、そのアウトプットをみんなに教え、全体で戦える組織をつくる、ということを重視します。しかし、イケキンでスペシャリストとして活躍される方々が必ずしもそれを得意とするわけではないからです。
──── 実践的なスキルと人に教えるスキルは別物ですね。どのように対応されたのでしょうか。
イケキンでは評価をされる先を2本にしたんです。管理職コースとエキスパートコースです。人材の育成や管理が主に求められる管理職だけではなく、この領域は誰にも負けないというスペシャリストも評価され階層を上げていくことができるというものです。
僕はスペシャリストが好きだし、光を当てたい、管理職ではない道がダメだということは一切ないということを全面に伝えていますし、このエキスパートコースへの期待を伝えています。イケキンのスペシャリストを取り上げた記事のウェブ掲載を始めたことで、スペシャリストこそがイケキンの強みだということが社外にも浸透してきています。やりがいや誇りもあり、評価も伴うコースです。
現行管理職に評価時の面談研修を増田さんに開催してもらいました。面談の基本的な流れや、必要性、具体的な実施項目など、詳細を作ってもらい「これがあればできそうだ」とみなさん好意的に取り組んでくれました。管理職向けの研修は、単発ではなく長期でお願いするのが一番良いと考えていて、組織の未来像を共有しながら管理職のレベルを上げていくことを理想としています。
これから求められる管理職像への漠然とした不安は、管理職とエキスパート職について明確に伝えることで、解消できたと思っています。
人事制度と関連した等級別の教育マトリクス構築はどのように行いましたか
人事制度の改革の一つに、その等級に必要な能力を明確化したことが挙げられます。その能力を身につけるための研修を会社として用意するために、増田さんには等級の定義に合わせた必要だろう研修項目をマトリックスで作ってもらいました。
既存の研修も活かしますし、新しく必要な研修も取り入れました。増田さんにエクセル研修をリーダー向けにやってもらいました。これは、人事制度の等級定義にオフィスソフトの現場指導という項目があり取り入れた研修です。社員はみなエクセルは我流で検索して対応していたため苦手意識があるという状態でした。増田さんが柔軟に資料を作成し、座学+実践型の研修をレベルに合わせて作ってくれました。
──── そういった丁寧な研修はほとんどの企業でされていないのではないでしょうか
そうだと思います。そういった機会があって良かったという従業員の声もありますし、僕らが今望んでいるレベルを研修に落とし込むことによって、これができれば良いんだというのを研修を通して伝えることができます。制度と教育が紐づいた状態です。
従業員の満足度も高く、学びたいという意欲にもつながりました。6月に社長面談というものを初めてやって、全社員と面談したときに、等級の定義を説明しました。例えば、3等級だとエクセルでこんな使い方をしてほしいんだけど、実際はどう?研修を組んだ方が良い?といった具合に、みんなからの「やれるようになりたい」ということに答えて研修を実施しているので制度と研修に一貫性があると思います。
──── イケキンならではの特徴や、従業員のモチベーションにもなる具体的なところまで丁寧に落とし込まれた人事制度について、たくさんのお話をありがとうございました。どういった会社や悩みに対して弊社サービスをお勧めしたいと思われるか、よければお聞かせください。
他社との違いとして、次のことが挙げられます。
- 経営者のビジョンだったり課題に寄り添う姿勢
- 状況に応じてカスタムできる柔軟性
- 自分事としての行動
- メンバー層との関係性構築
- 多様な経験と豊富な失敗談を持っているからこそ言葉が響く
増田さんの性格も考えると、中小零細というところから中堅企業に脱皮しようとしているような会社で、熱意があってもっと良い会社にしたい、メンバーのこともちゃんと考えて本当に幸せにしたいんだというところには、増田さんも応えたいと思うだろうし、増田さんの経験と実際に手足を動かせるというのが本当に役立つと思います。手も足りない、経験も足りない、でもやりたいんだ、という人にこそ効くんじゃないでしょうか。
僕も頼りにして全部オープンに話しているので、これから先も当事者意識、仲間意識でやってくれるだろうと思えているので、週1だろうが社外だろうが仲間の一人として接しているし、そう接してもらえると心強くありがたいです。
担当増田からのメッセージ
「ねじの変態集団がいる!」私がイケキンとの初めての出会いで思った感想です。表現はよくないですが、それほどにねじのことを愛し、研究している技術力の高い集団がイケキンだと思っています。
単なるねじ屋さんというものではなく、ねじを通じて課題解決を考え、付加価値を提供する。この取り組みが年々深まってきています。改革を続けている現況で、携わらせていただいていることが非常に楽しくやりがいを持っています。
武井社長は、どのような方にもフラットに接してくださるので、高い技術力を、より多くの方に届けられるよう「人の成長」という観点で支援を実現していきたいと考え、日々支援しております。
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